海外で子どもを産む前・育てる前にに知っておきたいハーグ条約

05/10/2024 BY Feisty No.1

つよくあかるくたくましく生きる人の心と体の糧となる情報を発信している Go Feisty! 今回は、子どもの海外への行き来を規制する国際条約「ハーグ条約」についてお伝えします。国際結婚や海外駐在などで日本へ行ったり来たりしたい方々、16歳以下のお子さんをお持ちでしたらこれは知っておかなきゃ犯罪者になってしまうかもしれません!これから海外で子どもを育てたい方は、特に重要ですのでぜひ知っておいてください。

 

ハーグ条約とは

ハーグ条約とは「国際的な子の奪取についての民事上の側面に関する条約」で、一方の親による国境を越えた子どもの不法な連れ去りや留置をめぐる紛争に対応する国際的な枠組みのことをいいます。

もっとざっくりいうと、条約締結国間で片親だけの判断で子どもを海外に連れ出すと問題になることがあるということです。子どもが16歳未満の場合、もう一方の親の同意がなく国境を越えると条約締結国間では、犯罪とみなされることがあるのです。

ハーグ条約締結国

2024年4月時点で103か国が締結しています。リストしてみましょう。
締結国
<アジア>
日本・韓国・シンガポール・スリランカ・タイ・中国(香港・マカオのみ)・フィリピン・パキスタン

<大洋州>
・オーストラリア・ニュージーランド・フィジー

<北米>
・カナダ・アメリカ

<中南米>
・アルゼンチン・ウルグアイ・エクアドル・エルサルバドル・ガイアナ*・キューバ・グアテマラ・コスタリカ・コロンビア・ジャマイカ・セントクリストファーネービス・チリ・ドミニカ共和国・トリニダードドバゴ・ニカラグア・パナマ・バハマ・パラグアイ・バルバドス*・ブラジル・ベネズエラ・ベリーズ・ペルー・ボリビア・ホンジュラス・メキシコ

<欧州>
アイスランド・アイルランド・アルバニア・アルメニア・アンドラ・イタリア・ウクライナ・ウズベキスタン・英国・エストニア・オーストリア・オランダ・カザフスタン・北マケドニア・キプロス・ギリシャ・クロアチア・サンマリノ・ジョージア・スイス・スウェーデン・スペイン・スロバキア・スロベニア・セルビア・チェコ・デンマーク・ドイツ・トルクメニスタン・ノルウェー・ハンガリー・フィンランド・フランス・ブルガリア・ベラルーシ・ベルギー・ポーランド・ボスニアへルツェゴビナ・ポルトガル・マルタ・モナコ・モルドバ・モンテネグロ・ラトビア・リトアニア・ルーマニア・ルクセンブルグ・ロシア

<中東>
イスラエル・イラク・トルコ

<アフリカ>
カーボベルデ*・ガボン・ギニア・ザンビア・ジンバブエ・セーシェル・チュニジア・ブルキナファソ・ボツワナ*。南アフリカ・モーリシャス・モロッコ・レソト

(*)の4国は日本とは締結していない国です。なので、ガイアナ・バルバドス・カーボベルデ・ボツワナから日本に子どもをつれて帰ってきたり、これらの国に連れていっても、政府(日本は外務省)は介入しません。

それ以外の99の条約締結国との間では、日本⇔外国への子どもの返還援助や面会交流援助をします。友好的に解決する場合もあれば、裁判になることも。一方の親の同意がなく連れ去った子どもを元の国に戻すことがハーグ条約の基本であり、罰則の規定はないですが、場合によっては誘拐・監護権の侵害として犯罪となってしまいます。

海外で子どもを産む前に知っておかないと痛い目にあうハーグ条約

子どもを連れ去られた片親にしてみれば、子どもが戻ってくる道が開けるありがたい国際条約ですが、私たち日本人が海外から子どもを連れて日本に帰りたくても帰ることができなくなる条約でもあることをこれから国際結婚するひと、海外で子どもを育てようと思っているひとはしっかり理解しておきましょう。

<<Before ハーグ条約>>
「ダンナと離婚したら子どもたちを連れて日本に帰ればいい」ーこれが異国で育児をしていたわたしの心の支えになっていました。いつでも日本に帰ればいいんだ。子どもたちを日本で育てればいいんだーと思ってました。実際まわりに離婚してハーフの子を連れて日本に戻っていったシングルマザーが何人かいました。日本人妻が子どもを連れて日本に帰ったままでアメリカ人の夫が子どもを連れ戻しに日本に来て誘拐騒ぎになっているというニュースも耳にしました。夫の同意なく子どもを海外に連れ出した日本人妻はアメリカでは誘拐罪にあたります。しかし、ハーグ条約締結前の日本では日本の警察は介入しなかったので、日本人妻は日本にいる間は無罪放免。アメリカ人の夫が強引に子どもを連れて帰ろうとしたら夫の方が誘拐罪になりました。日本人妻は、アメリカに再度入国をしようとしたら、空港ですぐ逮捕されたでしょうが、日本にいる限り、彼女は子どもと一緒に暮らすことができました。

<<After ハーグ条約>>
日本は2014年に締結国になりました。
そして自由に子どもを連れて日本に帰ることのできない日本人(特に女性が多い)が増えました。浮気や育児放棄で別れたいような夫でも、夫の許可なく子どもを連れて日本に戻ると日本でも誘拐罪に問われるようになったのです。離婚の際も同じこと。元夫の許可なく、また裁判所の許可なく子どもを連れて日本に戻れば元夫には子どもを取り戻す権利があり、日本の警察は連れ去った母親を見つけて子どもの返還を働きかけるのです。

友人Aの場合
Aさんは、アメリカの大学に留学後当時のアメリカ人彼氏と結婚。アメリカに住み続けたかったので今思えば急いだ結婚をしてしまう。ほどなく妊娠し、そこから夫への不信感が募るように。浮気をしているようだし、妊婦となった彼女のことを大切にしない。子どもが生まれてからも育児を手伝わない。彼女は赤ん坊を連れてしばらく日本に帰ろうとするが、夫が許さない。それは、ただの嫌がらせだと彼女は思ったが、強引に連れて帰ったらハーグ条約にひっかかる。なすすべもなく彼女はアメリカで暮らし続けた。そして離婚を決意。裁判をはじめる。彼女は親権がほしいが、子どもに興味を示さなかった夫は手のひらを返したようにいい父親を演じ、自分の子どもは渡さないと戦う。100万円以上の弁護士費用を払って離婚は成立したが、裁判所の決定に従って子育てをするためにアメリカに留まることに。ぎりぎりの暮らしをしながらも子どものためにアメリカで生活している・・・。

州ごとに法律は異なりますが、離婚届にハンコをつけば終わるような簡単な離婚は、なかなかありません。またよっぽど相手が人として問題がない限り共同親権が当たり前のため、離婚後も裁判所の決めたとおり、子どもは両親の元を行ったりきたりし、夫婦関係は終わっても親としての関係が続きます。離婚訴訟は弁護士費用がかかります。ハンパなく高いです。どんなに幸せだった結婚も半分は離婚に終わるアメリカ。国際結婚をするなら、アメリカで暮らすなら、ハーグ条約締結後の今はきちんと万が一に備えてから行動に出ましょう。

上記のリストをみればわかるようにほとんどの国がハーグ条約締結国です。どこに行っても探されてしまいます。結婚が破綻したら日本に帰って子どもと暮らすという、わたしがあたりまえのように思っていたことが、簡単にできなくなったのです。

<これから国際結婚・海外での子育てを考えているひとへ>

アメリカでは離婚率は50%を超えています。
結婚で人生安泰と思わないように。
子どもが16歳になるまで自由に海外への移動ができなくなる可能性を肝に銘じてください。

1.自分のお金を確保しておく。
2.銀行口座は夫名義だけではなく共同名義にしておく。
3.手に職をつけておく。

片親で海外へ渡航するとき

ハーグ条約締結国間では子どもが16歳になるまで、片親とのみ出入国する際はもう一方の親に渡航同意書にサインをしてもらい携帯しておきましょう。フォーマットに規制はありません。日本国は必要ないとしているようですが、習慣として携帯しておけば安心ですね。

ハーグ条約のある今を、自分のために、子どものために、賢く生きぬいてください!
Let’s Go Feisty!

【ハーグ条約についての情報サイト】
外務省領事局ハーグ条約室

ハーグ条約実施状況 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100012143.pdf

Feisty No.1

つよく あかるく たくましく 大きくはみ出で生きることがモットーの大女。三度のメシも酒も好き。保護犬サポート・F1・ブロードウエイでミュージカル・アリス・ハッピーアワーらぶ。Go Feisty! 主催。

The Feisties