反イスラエルの抗議活動はNO?イスラエル・パレスチナ紛争に揺れるアメリカの大学

03/28/2024 BY Feisty No.1

つよくあかるくたくましく生きる人の心と体の糧となる情報を発信している GoFeisty! 今日は、イスラエル・パレスチナ紛争に対して声をあげ、大学で抗議活動を行っている学生たちのとった行動について、私的な思いを伝えたいと思います。

「逮捕されてもいいか?」
最近音沙汰のなかった娘その2からの電話。

「何したの!!!」
「まだしてない。する予定」

それは、これからやろうとしていることについての自主的な「たれこみ」だった。事前にお断りをしてくれたのは、ありがたいが、「逮捕されてもいいか?」といわれ、「はい、どーぞ」といえるわけがない。

話を聞くと、全米から大学の理事が集まる大きな会議が大学キャンパスで開催される日に、座り込みの抗議活動をしたいのだという。「大学はイスラエルに兵器を供給している企業への投資・研究の協力をやめろ!」との要求を掲げて。理事会で要望が議題にあがるまで座り込むのだという。

イスラエル・パレスチナ問題は、どちらを支援するかで対立が絶えない。
大学内でもユダヤ人学生の団体は、娘その2たちの団体の反イスラエル・抗議活動に対して抗議をしている。

ユダヤ人とパレスチナ人の学生が同じ教室で学んでいる。
親族に危害が加わっている当人たちが同じコミュニティーで生活をしている。
渋谷で「パレスチナに自由を!」と旗を掲げる抗議活動とは異なる緊張感がある。

娘その2は、パレスチナ人虐殺反対のために立ち上がるのだ!という。

西側諸国が加担してきた戦闘の目的は、ハマス撲滅だったはずだ。
しかし、いまや ethnic cleansing (民族浄化) のごとく、無差別に無実の民間人が爆撃で、非人道的状況で、殺されている。

パレスチナの無実の人々の命を救いたい。その気持ちは同じ。
平和的な抗議デモに参加することを咎める気はない。わたしも「やる派」である。
しかし、逮捕されるとわかっていることを「勇敢でよろしい。捕まってこい!」とわたしは称えてやるのか?

娘その2は、あと2カ月で卒業。
このタイミングで問題を起こせば、逮捕されるだけではなく、停学になるかもしれない。卒業できなくなるかもしれない。退学だってありえるかもしれない。そこまでのリスクを追って、親のスネをかじりまくりの学生がとるべき抗議活動なのだろうか?

亭主とわたしの、親としての意見を娘その2に伝えた。

「目的が大学のポリシーを変えることならば、ただお偉いさんを怒らせて罰せられるのではなく、お偉いさんが変わらざるおえないような策を練ろ」
「大学は寄附がなくなったら困る。卒業生や企業に大学への寄附を中止するよう働きかけろ」
「今規則を破る行動をとるのは得策ではない」
「無駄死にするな」

娘その2は納得したと思った。
ほっとしてビールを飲んでいたその数日後、再び電話が。

「逮捕されたよ」

「22人の学生と2人の大学スタッフ、不法占拠で逮捕」
大学街の地元メディアがとりあげていた。

「わたしは、なにもしないで安泰でいるよりも、痛い目にあってでも自分の信じることに立ち向かいたかったのだ!」

娘その2は鼻息荒く、達成感ありありなのが伝わってくる。

「おまえたちは、わたしの行動に賛同しなかったのだから、「娘が逮捕されてまでも勇敢に抗議に立ち向かった!」なんて自分の手柄のように語るんじゃねえぞ!」

そんな言葉を吐き捨てられて以来、娘その2とは連絡をとっていない。
こどもだが、大人だ。ここから彼女なりのケツのまくりかたを遠くから傍観することにした。

24人逮捕のニュースはググると出てきた。
今、わたしが理解していること。

1.娘は大学で仏教について学ぶサークルの代表格になっている。

2.大学には、Social Justice ( 社会正義 ) のために活動をする連盟の団体があり、娘の所属する仏教のサークルもメンバーになっている。

3.イスラエル・パレスチナ紛争により、大学では関連国にルーツを持つ学生が危害を加えられたり、相互の意見を主張する活動が増えている。

4.大学は、増加する抗議活動に対処するため厳しい規制を導入した。これは、言論の自由を奪うものだと一部の学生や大学スタッフの反感を買っていて抗議活動も行われている。

5.娘の属する団体は、大学経営陣に向けて「大学がイスラエルへの兵器供給に関わっている企業との関係を断つこと」を求めて活動をしていた。

6.大学の理事会が行われる日に、上記要望を理事会で議題にとりあげるまでは動かないぞ!とキャンパス内の会議が行われているビルのロビーに座り込んだ。

7.要望は議題にあがらず、ビルの閉館の午後6時になっても学生たちが座り込みを続けていたのでキャンパス・ポリスが24名全員を逮捕した。24名は抵抗をせず逮捕され、別室にて逮捕状を渡されたあと全員釈放された。

8.4月上旬に裁判所に出頭。容疑は、不法侵入。

9.連邦政府の機関である US House of Representatives Committee on Ways and Means(下院歳出委員会)は、大学に対し「反イスラエル活動のような政治的活動を許すのならば、大学の税制優遇措置を剥奪するぞ、抗議活動をしている学生を厳しく処分しろ」と警告文書を送りつけてきた。

10.逮捕されたことに対し、娘の属する団体は声明を出した。その一部に、こうある。

「極端な対立が起きるときにこそ、表現の自由や異なる意見を持つことが最も大切にされるべきだ。
私たちの多くは、日々目にする流血や苦しみにどう倫理的に対処すべきか悩んでいる。
危機に対処する方法について意見が分かれるかもしれないが、強制された沈黙や服従は、有効な解決策ではない」

さて、これからどうなるのでしょう。

娘の行動を自慢する気などない。
意見の異なる人からみたら、大学の秩序を乱す異分子。
賛同する人からみたら、勇気ある戦士。

彼ら、彼女らがどう思われるかなんてどうでもよい。

政府機関の「脅し」は許せない。
どっちが政治的活動をしてるんだ。

虐殺を止めてくれ。
罪のないこどもが、大人が、死んでゆくパレスチナの現状を救ってくれ。

アメリカ大学留学中、パレスチナ人の同級生がいた。
同窓会で彼は20代で亡くなったと知った。
紛争に巻き込まれてのことだという。

正義感があって優しい青年だった。
アメリカで教育を受けて国に戻って立派なリーダーになっているんだろうなと思っていた。
メディアに映し出される血だらけの人々をみるたびに、彼のことを想う。

パレスチナ人の命をないがしろにするな!

大学で座り込みをしないわたしは、どうパレスチナを救えるか?
今、それを考えている。

後日編はこちら
https://gofeisty.com/trendings/columbia/

Feisty No.1

つよく あかるく たくましく 大きくはみ出で生きることがモットーの大女。三度のメシも酒も好き。保護犬サポート・F1・ブロードウエイでミュージカル・アリス・ハッピーアワーらぶ。Go Feisty! 主催。

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